きみの時計がここにあるよ

朝、腕時計を手に取ると、止まっていた。
時間を合わせてリューズを押し込むと、動き出す。でもまた止まる。
窓口で仕事していたら、腕時計では「まだ仕事中」の時間なのに
とっくに持ち時間は終わっていたりして。

１８年使って、ついに動かなくなったのか。
高校卒業したとき、祖母から貰ったお祝いで買った時計。
ちょうど小堺さんのコミカルなＣＭ（ソフトクリームをすれ違った女性につけられ、頬についたそれを舐め取ってもらう、っていう、何処が時計と関係があるんだ、という）が流れていた。

ちょっと「レトロ」な雰囲気、柱時計を小さくしたような。
それ以来オーバーホールしながらずっと使っていたけれど、もう寿命かなあ。

その間に祖母は仕事をすっぱり引退し、元気に人生を楽しんでいる。
小堺さんは変わらずテレビとラジオに出ている。大きい手術もした。
ワタシは結婚したりコドモがいたり仕事したりして、それでもここにいる。

夕方長い電話対応を終えて、時計屋さんに持ち込み、
修理に預けるつもりだった。あきらめかけていた。
すると店長さん「１０分待っていてください。動きます。」

なんてことはない。電池交換してパッキンを取り替えてオッケー。
またいつもどおり動き出した。

待っている間陳列棚の時計を眺めていたけれど、
やっぱり今の時計より見やすいものは見つからなかった。

まだまだこの時計とつきあっていこう。

同僚（２０代女性）と話していたら
実家に帰ったときにお父さんの使っていた腕時計は
学生時代に彼女が使っていたものだったそうだ。
離れて暮らす娘を思いながら時計を眺めているのかなあ。